NEWS
2025/04/03 (Thu)
2025年1月27日、お披露目公演『Gauze』にて、ステージデビューを果たしたMADMED。同月7日に惜しまれつつ現体制終了したMAD MEDiCiNEを受け継ぎながらも、新たな可能性を見せてくれた。デビューから約1ヶ月が過ぎた今、7人は何を考えているのか。現在開催中の東名阪ツアー『MAGiCAL×MEDiCAL』のスタートを控えた2月のある日、それぞれに胸を内を訊いた。1人目はキレのあるダンスとハンサムな佇まいで魅了する、猿馬虎。
(取材・文 冬将軍)
女の子にちやほやされたいから、自分のパフォーマンスが映えるのはこっち
——虎さんは、Xでの個人アー写発表が一番手でしたがどうでした?
虎:その日はちょうどMV撮影中で、気が気じゃなかったですよ、ドキドキでした。アイドルに限らず、人は環境の変化を受け入れにくいじゃないですか。いい意見ばかりじゃない。こう言っていいかわからないけど、前体制へのジェラシーもあって。別モノとして受け入れてくれている方もいるからこそ、前体制を意識しないでおくべきなんだろうけど、やっぱり意識してしまう。実際、怖いですよね。とはいいつつ、やっぱり僕たちが目を向けなきゃいけないのは、反対意見よりも応援してくれる人たちだと思うんです。
——体制が変わったグループの状況的に反対意見や、受け入れられない声が出るのは仕方のないことですからね。
虎:実際僕もMAD MEDiCINEが好きだったので。現体制が終了すると聞いたときは普通にショックだったし、現体制終了ライブを観たときも、終わって欲しくないって、この身で言うのもですけど、いちファンとして終わって欲しくない気持ちがあったので。でもそれ以上に、MADMEDとして活動できること、(那月)邪夢さんと一緒に活動できることが本当にありがたい、楽しみだったからいろんな感情がありました。
——お披露目ライブ後の反応を見ると、比較的受け入れてくれてる人が多かった印象を受けました。実際、“邪夢さんのMADMED”ではなく、“7人のMADMED”だったと思います。
虎:それは嬉しいッス。これは自分個人の意見なんですけど、アパレルのブランドがあったとして。「このブランドのこのワンピースがめっちゃかわいい!」って、ワンピースが売れるんじゃなくて、「このブランドがかわいい」と言われたい。「MADMEDの誰々がいい」じゃなくて、「MADMEDがいい」と言われたい、グループとして売れたい。邪夢さんという強い軸があって、そこに縋るのではなく、その軸を一緒に支えていく。それはデビュー前から意識してましたね。簡単じゃないですか、元の波に乗っかるのは。でもそれじゃダメだと思います。
——そもそも虎さんは、どういう経緯でMADMEDへ加入したんですか?
虎:僕、昨年(2024年)3月まで別のアイドルをやっていて。そのあとアパレルショップで働いてたんですよ。その同じフロアの違う店舗で、ちょうど邪夢さんが来店イベントをやっていて。休憩中にフロアで邪夢さんを見かけたんです。僕、MAD MEDiCiNEが好きだったから、販売員という身を借りて、「これ、喋りかけるチャンスじゃね?」みたいな(笑)。今行かないでいつ行く? 「邪夢さんッスよね?」って、話しかけたんですよ。
——職権濫用だ!(笑)
虎:ハハハ! そのときにプロデューサーの堤さんとも話をして。「新しいグループを作るんで、スカウトしたいかも」って言われたんですよ! 「ええ〜っ!!」って。MAD MEDiCiNEの凄さ、MVや衣装のお金の掛け方も知ってたし。僕、前のグループをやめた理由が事務所のモチベーションの問題で。僕はもっと上へ行きたかった。堤さんのところはちゃんとプロモーションにお金かけてくれる事務所だとわかってたから、連絡先を交換したんです。「また連絡します」と言ってくれたんですけど、僕、すごくやる気満々だったから、自分から速攻で連絡して。そしたら「面接の日程を決めましょう」と言ってくれました。アパレルのときは髪型も含めてちょっと可愛らしい格好をしてたんですね。出勤2日目とかで変な気合いが入っていて(笑)。それで面接のときは普段通り、この今の感じで行ったら「カッコいいですね」と言われて、MAD MEDiCiNE現体制終了の話もそこで聞きました。それで「このあと、スカウトした子たちのレッスンがあるのでどうですか?」と言われたんです。僕、そのあと仕事だったんですけど、これが今いちばんやりたいことだと思ったから、レッスンに参加しました。「ダンスするような格好じゃないですけど、大丈夫ですか?」「ジャージみたいな服装だから大丈夫」って、自分、ちゃんとした服を着ていったつもりだったのに……という思い出があります(笑)。
——(笑)。それはいつくらいの話ですか?
虎:昨年の5月だったので、たぶん7人の中で僕が一番古いんですよ。準備期間にどのメンバーがいなくなって、新しい子が入ってきて、というのも全部見てる。だから今のメンバーが集まった凄さを実感できてるんです。いろんな紆余曲折あって、この7人が揃った。実際「決定!」となったあとも、何度か入れ替わってますから。
——なんとなく状況は聞いていました。
虎:そんな状態だったから「自分もヤバいんじゃないの……」って、恐々としてましたから。だからこそ今残ってるメンバーは本当に信頼しています。できることならこの先、50年はやりたいですね。アイドルじゃなくてもいい、7人でラーメン屋やってもいいですし。
——起業!(笑)。
虎:ビューティーサロンとかイケそうじゃないですか? 僕、美容師免許を持ってるんで。
——おおっ、美容師を目指してたんですか?
虎:そういうわけでもなくて、高校生のときから地下アイドルに興味があって。とある地下アイドルのヘアメイクさんがいて、今もHEROINESとかのヘアメイクをやってる方なんですけど、そうなりたいと思って美容学校に入ったんです。でも自分が見ていたTikTokの女の子が「アイドルのメンバーを募集します」というので、ノリで書類を送って。受かってるとは思ってなかったから全然気づいてなかったんですけど、ある日ディズニーへ行ったときに、ケータイの容量が重すぎて写真が撮れなくなっちゃって。いろいろ消さなきゃ、メールも消さなきゃと思ったら、何週間か前のメールに「書類審査通りました」とあって。「ヤバい、ヤバい、急いで返信しなきゃ」と返信して、みたいな。だから美容師がやりたかったわけではなく、地下アイドルに興味があったんです。相手を喜ばせるのが好きなんですよね。ヘアメイクは「その子を可愛くしてあげたい」、地下アイドルは「みんなを笑顔にしたい」。だから、アイドルになるために生まれてきたと言っても過言ではないっ! いや、過言ですけど(笑)。
——頼もしい。
虎:気づいちゃったんですよ、僕、「カッコいい」と言われるほうが嬉しいんだって。これ、口悪くなっちゃうんですけど、自分よりブサイクな人が「カッコいい!」と言われてるの、ムカつくんです。
——アハハハハ! そうはっきり言われると気持ちがいい。
虎:反骨精神、負けず嫌いなんですよね。女の子にちやほやされたいから、自分のパフォーマンスが映えるのはこっちっていうか。やっぱダンスには自信があるし。
「ダンスが虎っぽい」ということで、MADMEDの虎担当なんです
——ステージを観ていて、リズムがジャストだなと思っていたんですけど、ダンスはやっていたんですか?
虎:いや、ほぼ独学。一応、小5、6のときに学校で集まってやるようなお遊び程度のダンスをやってたのと、高校生のときに部活でダンスに入ってたんですけど、そんな専門的な知識を持った顧問じゃなかったし、ダンスできる人が教えるくらいの部活だったんで。一応大会とかには出てたんですけど。入ったときは21人居て、そのうちの3人が経験者。やっぱり経験者が優遇されるんですよ。それが悔しくて練習して。そういう経験者の子たちが振り付けるんですけど、悔しかったからめっちゃ練習して頑張って、1年の夏の文化祭で初めて僕が振り付けた。最終的に一番大きなコンテストの振り付けは僕ともう1人の子、というところまで登り詰めました。コンテストの振り付けって大事じゃないですか。それを任せてもらえたのは嬉しかった。負けたくなかったんです。あと、リズムゲームが好きでした。
——歌はどうですか?
虎:歌は自信なくて。合唱コンクールもやる気ないポジションだったし、自分の声がめっちゃ嫌だったんですよ。僕、普通の人からしたら低いほうだから。でもアイドル業界入ってから声を褒められるようになった。堤さんと話したときも「声がいい」と言われて、自分の短所が知らないあいだに武器になっていたんだなと。そっからヘタクソなんですけど、ボイトレで日々、先生に「どうやればいいですか?」って学んでます。カラオケに行く回数も増えました。会員カードあるじゃないですか。いつの間にかゴールド会員になっていて。ちょっと恥ずかしかったですもん、受付に出すとき(笑)。だから、歌に自信もないですし、声も好きじゃなかったけど、その声が、歌声が好きだと言ってくれる方が増えてからは、わりと好きになれましたね。
——存在感のある声ですよね。
虎:前体制にこういう声質がいなかったからこそ、怖かったところもあるんですけど、それが自分の売り出せるところだし、それをいいと言ってくれる方もいるから頑張れる。黄色もそうじゃないですか。前体制にはない色。僕自身、黄色になるとは思ってなくて。自分が触れてこなかった色だし。前世は赤で、髪色も赤黒のツートンだったので「赤色にこだわりはありますか?」って訊かれたんですよ。「いや、ないです」と答えたら「紫、似合うと思うよ」と言われたので、「紫かぁ」と思って、髪色も紫を入れたりしたんです。それでいざメンバーカラーを決めますとなったときに「黄色!」と言われて、「え、黄色!?」って(笑)。世間的なアイドルさんのイメージでいうと、黄色はかわいい枠じゃないですか。だからパニックになったんですけど、詳しく話を聞いたら「ダンスが虎っぽい」ということで、なるほどなと。今は黄色大好きです。MADMEDの“虎”担当なんです。
僕に会ったら自然と笑顔になる、そんな存在でいたい
——このインタビューが出る頃は東名阪ツアーが始まっていますが、どんなツアーにしたいですか?
虎:やっぱり一番は、たくさんの人に知ってもらいたいですね。結局、MAD MEDiCiNEという大きな名前があったからこそ、今知ってる人たちがたくさんいるわけで。だから“僕たちのMADMED”を知ってもらいたくて。だからそういうきっかけになるツアーにしたい。MAD MEDiCiNEとは別モノではあるんですけど、曲を引き継いでる以上、リスペクトは持たなければいけないし、自分もMAD MEDiCiNEが好きだったからこそ、思い出もちゃんと背負っていきたい。
——既存曲もアップデートされ、新曲もより深くすごいことになっているし、別グループになっていると思います。
虎:「曲が難しい」とはよく言われていて。3回目くらいから楽しくなると思います。だから通っていただきたいですね。3回来てから好きか嫌いか決めて欲しい。
——外からMAD MEDiCiNEを見ていたときと、実際MADMEDのメンバーになったときの差はありますか?
虎:歌詞の受け取り方は違いますね。「すげぇ歌詞だな、このリズム好きだな」と思ってましたけど、今はそれについて考える、伝える側になった。僕自身がヲタク気質だったんですよ。高校生のとき、歌い手のヲタクをしてたからこそ、伝える側としてヲタク心がわかる。
——なにをすればヲタクが喜ぶか、であるとか。
虎:だから僕はDDを否定するつもりではないし、いろんなアイドルのことが好きと言ってくれてる中に僕が入ってることは嬉しいけど、僕のことを一途で好きでいてくれる子たちとは差別化するよ、っていうのは配信とかでも言ってるんです。もちろん応援してくれてる人、全員に返さなきゃいけないことはわかってるんですけど、そういう子にはより一層返してあげたい気持ちが強くて。まぁ、あまりよくないことだとは思うんですけどね。
——素直なところだとは思います。それをちゃんと予め公言してるからいいんじゃないですか。
虎:だからこそ、DDしてる人も推しやすいのかなとも思うし。僕は、僕を好きになってくれた人、みんな幸せになって欲しいと思ってます。僕を推すことで病んで欲しくない。僕に会ったら自然と笑顔になる、そんな存在でいたい。その子たちはいつか結婚とかするじゃないですか、他の幸せを見つけてくる。そうやって他の幸せを見つけたときに、僕のことを「こんな幸せもあったな」という思い出にして欲しくて。こう言うと敵を作っちゃうかもしれないけど、軽い気持ちでアイドルやってる子もいるじゃないですか。でも僕はガチなんで。メンバーに決まってもないのに仕事も辞めたし、「本気なんだよ!」というのが伝われば本望。幸せになりたいなら僕のことを好きになればいい。
——男前だ。
虎:僕、なりたいアイドル像があって、手越祐也になりたいんですよ。ああなりたいんです。でも、僕が「ていっ」って言い出したら止めてください(笑)。
——アハハハハ! デビュー前から濃厚な期間を過ごしてきましたが、スタートしてまだ1ヶ月しか経っていないし、これからですね。
虎:もう3年やってる気分ですね。これがあと50年続きます!