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2025/04/04 (Fri)

深ゐ沼がたどり着いた境地「毎回“今日が1番だったね”と言い合えるライブをする」【MADMEDソロインタビュー】

2025年1月27日、お披露目公演『Gauze』にて、ステージデビューを果たしたMADMED。同月7日に惜しまれつつ現体制終了したMAD MEDiCiNEを受け継ぎながらも、新たな可能性を見せてくれた。デビューから約1ヶ月が過ぎた今、7人は何を考えているのか。現在開催中の東名阪ツアー『MAGiCAL×MEDiCAL』のスタートを控えた2月のある日、それぞれに胸を内を訊いた。3人目はクールに見えて何をしでかすかわからない、底知れぬポテンシャルを感じさせる、深ゐ沼。

 

(取材・文 冬将軍)

 

 

「絶対にここでアイドルする!」と思ったのが、堤さんのところだった

 

——沼さんは、MADMED加入前にユニットをやっていたんですよね。

 

沼:そうです。でもライブはやってないので、“やっていた”と言っていいのかわからないんですが……。デビューライブに向けてビラを配ったりしてたんですけど、デビュー1週間前くらいに運営さんから切られてしまって……。

 

——闇深い……。では、MADMEDが実質初めてのアイドル活動。

 

沼:ライブやったり、ちゃんとした形ではそうですね。高校生のときから、アイドルという存在に憧れはあったんですけど、自分がなりたいというより、遠くから見ていたい存在だったんですよ。高校をやめて、ずっとパン屋さんで働いていたんです。週6とかで朝9時から夜の11時まで……。

 

——それはハードですね。

 

沼:変わり映えしない毎日すぎて、自分がどこまでいけるのか試してみたいという好奇心から、アイドルオーディションを受けるようになりました。そこから知人に誘われてユニットを組んだものの、なくなってしまい、一旦休憩期間に入っていたらMADMEDからご縁をいただいたんです。でもオーディションを受けて、1回落ちたんですよ。そこからまたご縁があって、入ることになりました。

 

——おお、何があるかわからないですね。

 

沼:ええ、本当に。

 

——アイドル自体には前から憧れていたと。

 

沼:REIRIEさんが好きで、高校の友達に教えてもらって好きになったんです。唯一無二感があってすごく好き。(金子)理江ちゃんが好きなんです! なんだろう、犬みたいな(笑)。素を出していて、ニコニコしていて、かわいいけど、カッコいい一面もあって……ああ、どうしよう(恥)。

 

——ヲタクだ(笑)。ライブやイベントにも行きました?

 

沼:はい、1人で行ってました。でもライブ行くのが怖かった人なんで、女性限定のときに行ってましたね。

 

——REIRIEの影響もあって、グループよりユニットがよかったんですか?

 

沼:そう思ってたんですけど、ユニットがなくなって考え直しました。なくなってから、ユニットアイドルになりたかったわけじゃなかったんだなと思って。今アイドルを始めてわかったのは、元々友達で始まった人と一緒に仕事仲間としてやっていくのはちょっと……、仲悪くなる可能性があるなと。だからいろいろな意味でよかったのかもしれないと思っています。

 

——ユニットのお相手は友達だったんですね。

 

沼:そうです。何年か繋がっていて一緒に遊んだり、そこからユニットに誘われて、みたいな感じでした。 

 

——変わり映えしない毎日とはいえ、パン屋さんからいきなりアイドルになろうというのは飛躍してると思いますが、なにかきっかけがあったんですか?

 

沼:きっかけかぁ、なんだろう……。「アイドルになりたいかも?」みたいなところから「アイドルになりたい!」というふうにどんどんなっていったんですよね。パン屋さんの慣れが出てきて、他の仕事をしてみたいと思ったときに、やっぱりいちばん最初に思い浮かんだのがアイドルで、それしかなかったです。 

 

——歌ったり踊ったりすることに対してはどうだったんです?

 

沼:私、パフォーマンス自体はまったく自信がなくて。それは今もなんです。メンバーみんなでライブ映像を見返すときも「見てられないよ……」って、1人で目を細めて見てるんです。最初は「なんか歌って踊ってるよ、この人」って、客観的に自分を見てたんですけど、毎日ライブ映像を見返していく中で、「ここ、間違ってるな」とか、ちゃんと反省するようになって。「自分、ちゃんとアイドルしてるじゃん!」みたいに、ちょっとずつ実感が湧いてきてますね。

 

——歌やダンスは好きだったりしたんですか?

 

沼:音楽が好きだったんですよね。でもただ好きなだけ。何ごとも昔から自信がなくて。好きだったけど、歌やダンスをやってみようとは思わなくて、遠くから眺めていただけ。そうしたら、なんかこうなってましたね(笑)。

 

 

お披露目ライブはSEが鳴った瞬間にすべてを覚悟しました

 

——パン屋さんからアイドルになろうと思ったとき、オーディションは受けたんですか?

 

沼:5件受けました。そのうち3件、書類審査は通ったんですけど、面接に行くのが怖くて。家から出るのが本当に怖かったんです。「外の人間、全員敵っ!」みたいな感じだったんですよ。面接もどんな怖い人が待ち構えているんだろう……と思って、「あの、ちょっとすいません……」って、辞退させていただきました。3件くらい。

 

——ええー(笑)。で、結果的に入ったのが前のユニットだった。

 

沼:はい。そのうち1つ、最終オーディションまで行ったものがあって。そのときに知り合いから「オーディション受かってるのは知ってるけど、ユニットやらない?」と誘われたんです。ものすごく悩んで……。悩んだ結果、仕事を続けるならやっぱり人かなって思ったんですね。グループって、ちょっと怖いじゃないですか。どんな人が来るかわからないし、いじめられるかもしれない。集団行動もしたことがないから。だったら知ってる子が「ユニットやろう」と言ってくれるなら、と。

 

——団体行動が苦手だった。今はどうですか?

 

沼:MADMEDはいい感じですね。一緒に高みを目指していける関係。居心地いいなって思います。新しい気持ちですね。 

 

——で、そんなユニットがなくなっちゃったわけですね……。

 

沼:ある日、運営さんと言い合いになったんですよ。そうしたら、次の日にLINEグループを急に削除されて、一切連絡が取れなくなってしまった……なんかものすごくざっくり話してますけど……(笑)。

 

——うわぁ、キツい。まぁ、地下アイドルでは珍しい話ではないですけど……(苦笑)

 

沼:それで、「運営さんに逃げられちゃった」とSNSに投稿したら、いくつかの事務所さんから声をかけていただいたんです。それで実際にお話して、「絶対にここでアイドルする!」と思ったのが、堤(MADMEDプロデューサー)さんのところだったんです。

 

——MAD MEDiCiNEは知っていましたか?

 

沼:はい、ユニットの相方から教えてもらって、「MAD GAME」を聴いて衝撃を受けました。「なんか好き!」っていう直感ですね。それでライブを観に行ったんです。好きだけど、オーディションを受けるにあたって、運営さんを重視してたので……って、なんだか私が審査してるみたいで嫌な感じですよね。

 

——そこは就職面接みたいなものですから、大事ですよ。

 

沼:そっかぁ。でも堤さんのプロデュースするところに入ってよかったです。

 

——堤さん、最初怖くなかったですか?

 

沼:めっちゃ怖かったです、最初の面接は別の方だったんですけど、近くにいらっしゃって。メン地下か何かの人だと思ってました。タトゥーがすごいし、この人には近づかないでおこうと思ったら、プロデューサーさんだった!

 

——あはははは!

 

沼:でも入ってよかったぁ〜。メンバーも好きだし、運営さん、スタッフさんも、いやぁ、好きなんですよね。人生変わったと思っています。嬉しいなぁ。

 

——最初はMADMEDではなく、新グループという括りだったんですよね。

 

沼:そうなんですよ! 「とりあえずレッスンに来てよ」と言われたから、毎回行くようになって。そしたら実はここMADMEDのレッスンでしたよ、ということになっていて、「ここにいるメンバーで確定です」と言われたんです! ……でもそれから1回落ちちゃったんですね。すっごい落ち込んじゃって、「そうだよな、もっと頑張ればよかったよなぁ」と3日くらい寝込んで……。そこから1ヶ月くらい新グループ予備軍みたいな感じでレッスンを受けてました。そんなある日、夜中に突然堤さんから「明日のお昼にどこどこへ来れますか?」と連絡が来て。とりあえず、「わかりました! 行きます!」って行ったんですよ。そしたら「あなた、MADMED確定です」と言われたんですよっ!! 「なんでなんで? 突飛しすぎ!!」って。嬉しいけど、1回落ちたレベルで1ヶ月分のレッスンに追いつけるか不安だったし。私、覚えが悪いんです。1ヶ月で6曲覚えることを課題にしたら死んじゃうんじゃないかって。それで丸1日悩んだんですけど……結局「頑張ります!」となりました。

 

——MAD MEDiCiNEを引き継ぐプレッシャーもあったかと思います。

 

沼:そう、プレッシャーもあったんですよ。そうだよな、私も前体制を見てたし。最初は「じゃむち(那月邪夢)さん好き!」と思って見てたんですけど、見れば見るほどグループ全体として好きだなって。だから私みたいな新参者がどういう顔してここに入ればいいんだ……と思ってたんです。本当にわからなくて、ヲタクの気持ちはわかるけど、入る側の気持ちはわからないし……。

 

——それはそうですね。

 

沼:それで占いへ行きました!

 

——(笑)。

 

沼:「どうしたらいいですか!? どうしたらいいですか!?」って、私はその占いの人を未来の預言者だと思ってるんで。「落ち込まないの。自分らしくでいいんだよ」みたいに言われまして、「わかりましたぁ〜」と、自分を出していってますね。でも、やっぱり(前体制と)比べられると心がううっ……て、なっちゃいますね。

 

 

これから喧嘩するのが楽しみです!

 

——お披露目ライブに向けてはどうでしたか?

 

沼:「本当に私、アイドルになるの? 本当にいいの?」みたいにずっと過ごしていて、ステージに立つ直前まで、「私、本当にステージに立つの?? 本当に??」という気持ちでいたんですけど……SEが鳴った瞬間にすべてを覚悟しました。そこからはとにかく必死。本番は記憶がないんですけどね。……で、次の日寝込みました。

 

——満身創痍。

 

沼:でも人間すごいなと思ったのは、1日寝れば、また次の日ライブができるんですよ! すごーい、これはもう一生ライブしてやるよ!って気持ちになりました。今でもライブ前は本当に怖い、足もガクブルで。でもステージに立つのは楽しいな。

 

——お披露目から約1ヶ月活動してきて、心境の変化はあります?

 

沼:緊張の時間が短くなっただけで、今も緊張はするんですよね。「SE流れたよー」って、メンバーに背中を叩いてもらってます。まだまだだなっていう気持ちです。

 

——周りの反応は気にします?

 

沼:SNS監視厨なんですよ。10、いい意見をもらっても、「昔のほうがよかった」っていうのを1、見ちゃうと落ち込んじゃう……。それで泣いて、寝込んで……、治る! やっぱり寝るのは大事っ!

 

——前と比べられるのはしょうがないですよね……。

 

沼:覚悟はしてましたけど、いざ目の当たりにするとくるものがあるなと。

 

——このインタビューが出るころは東名阪ツアーが始まっていますが、どういうツアーにしたいですか?

 

沼:新参者のくせに欲張りかもしれないですけど、すごいキラキラしたもの、フロアを見たい気持ちもあるし、ライブ終わったあと、メンバーと「今日のライブ、ヤバかったね」って言い合いたい。「悔しかった」と思いたくない。毎回「今日が1番だったね」と言い合いたいです。

 

——メンバー間のコミュニケーションもバッチリですか。

 

沼:名古屋遠征で7日間一緒に居ても、全然仲が悪くならないんですよ。 最初はバラバラで行動したりするけど、結局は一緒に居て、みんなでライブ映像を見返して、笑い合ってる。なんだか修学旅行みたいですね。だからこれから喧嘩するのが楽しみです!

 

——大事ですね。グループを良くするための言い合い。

 

沼:とか言っておいて、たぶん自分がいちばん何も言えない……(笑)。

 

——この先のMADMEDにおいて、沼さん個人の目標はありますか?

 

沼:邪夢さんに負けない“何か”を研究中です。絶対に負けない“何か”を見つけます!

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